2019年ESG経営講演会 ダイジェスト

『SDGsの戦略的活用で新たなチャンスを掴む』

四谷区民ホール2019年2月14日(木)、東京都新宿区の四谷区民ホールにて、エコステージ協会主催ESG経営講演会が開催された。「SDGsの戦略的活用で新たなチャンスを掴む」と題し、EUが推進するサーキュラーエコノミー、中小企業におけるSDGsの取り組み、SDGsの世界的動向、そしてエコステージ導入による優秀事例が紹介され、最後にSDGs宣言・評価書の第1号の授与式も行われた。会場は満席となり、多くの来場者が熱心に聞き入った。

開会挨拶
エコステージ協会 理事長
古賀 剛志

SDGsをテーマにした本講演会の趣旨とプログラムの内容を紹介。SDGsは環境経営にとって重要な取り組みであるだけでなく、企業経営の新たな切り口と期待され、識者や専門家の講演には役立つ情報やヒントが盛り込まれていると語り、開会を宣言した。

古賀 剛志
《基調講演》
「サーキュラーエコノミー時代の製品ライフサイクル設計」
東京大学 大学院工学系研究科 教授
梅田 靖

ライフサイクル工学の視点から、SDGsと関係の深いサーキュラーエコノミーについて解説。EUでは環境対応に加え、競争力強化や新規雇用まで含む成長戦略の一つとして捉えられ、「所有ではなくシェア」といった価値観の変化を背景に、工業製品にも補修性やアップグレード性などが求められていると紹介。「今後は誰がモノを作るかより、誰がモノと情報を回すか、循環プロバイダーの役割が重要」と指摘し、日本企業も適切な循環を生むライフサイクル設計の実装が課題と語った。

梅田 靖氏
「SDGsの達成を通じた中小企業の競争力強化・企業価値向上に向けて」
経済産業省 関東経済産業局 総務企画部 企画調査課長
北原 明

地域経済の振興を担う立場から、SDGsを中小企業の「稼ぐ力」にどう結びつけていくか、現状と今後の計画について紹介。中小企業ではSDGsの認知度はまだ低く、必要性を理解したとしても資金やマンパワーが課題となっている状況を説明。長野県で立ち上げた「地域SDGsコンソーシアム」の事例を挙げ、「地域の関係者で連携した伴走型支援が必要となる」と提言し、補助金などの支援制度、ツール、官民連携プラットフォームなどのサポートを積極的に展開していくと語った。

北原 明氏
「CSR経営とSDGs」
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 代表理事
有馬 利男

国連組織の理事で元経営者の立場から、SDGsの世界的な趨勢について紹介。国連では冷戦後の混乱を機に「人間の顔をしたグローバル市場」が提唱され、具体的目標としてSDGsが採択された経緯を解説。ESGを重視する投資家ニーズとフェアトレードを求める消費者ニーズの高まりから、「欧米ではSDGsをビジネスチャンスと捉え、社会的価値と経済的価値を統合して収益が上がるイノベーションを起こしている」と最新動向にも触れ、SDGsへの対応が中小企業にも求められると語った。

有馬 利男氏
①「SWOT分析に基づく計画策定とエコステージ活動への展開」
株式会社丸栄製作所 代表取締役社長
今牧 健治

エコステージを通して人材育成を進める丸栄製作所の取り組みについて、代表取締役社長の今牧氏が発表した。主要製品のショベルカーのバケットなど建設機械先端機器製造で、熟練工の高度な技術が求められる同社では、技能の伝承が急務。環境活動とともに、インストラクター制度、女性の雇用推進、競技会参加などの施策を積極的に展開し、20代〜30代社員の技能向上や新卒採用を実現。SDGsについても「現在の施策との整合性を定期的に確認し、取り組んでいきたい」と語った。

<優秀事例に学ぶ>
今牧 健治氏
②「エコステージ活動からTQM奨励賞への挑戦」
株式会社中野製作所 代表取締役社長
中野 裕

エコステージからTQM活動にシフトし、経営改善を果たした中野製作所の取り組みを、代表取締役社長の中野氏が発表した。フォークリフト油圧製品の製造を行う同社は、小松共栄工業協同組合17社によるグループエコステージを導入。社員数30名の少数精鋭ながら、企業間で互いに研鑽し、5S活動を中心に環境活動を推進。その後、TQM活動に移行し、全社員で不良削減活動を徹底して、2018年にはTQM奨励賞を受賞。「全員参加を合言葉に社員一丸で取り組んできた成果だ」と語った。

中野 裕氏
③「街の小さなレストラン。環境、CSR、そしてSDGs活動へ」
株式会社環境総合研究会 代表取締役社長
鎌田 健司

エコステージ初のSDGs宣言・評価書を授与された環境総合研究所の取り組みについて、代表取締役社長の鎌田氏が発表した。「ゴミの資源化」を軸にCSRコンサルティングを行ってきた同社は、2018年6月、ソーシャルビジネスの一つとしてエシカルカフェ"リーフ"をオープン。子どもの貧困対策にも役立つ「みんな食堂」や地域コミュニティスペースとして活用し、「SDGsのゴール2030年までに60歳以上の高齢者が生き生きと働ける社会貢献産業をつくっていきたい」と語った。

鎌田 健司氏
SDGs宣言・評価書授与式
講演会の締めくくりに、2018年9月にスタートしたエコステージ協会の新サービス「SDGs見える化サービス」に取り組み、SDGs宣言・評価書発行の第1号となった株式会社環境総合研究会様へ授与式が執り行われた。
授与式

「ご来場者アンケート」より

-ご記入いただいた多数の回答の中から、いくつかご紹介します-
基調講演 「サーキュラーエコノミー時代の製品ライフサイクル設計」(梅田 靖氏)に関して
  • ライフサイクル設計の必要性について理解が深まった。
  • 具体的な説明で分かりやすかった。
  • 製品ライフサイクルのポイントが良くわかった。
「SDGs達成を通じた中小企業の競争力強化・企業価値向上に向けて」(北原 明氏)に関して
  • 中小企業がSDGsに取組むための理由付けとしてさまざまなメリットがあるということが理解できた。
  • SDGsに関する問題点や今後の取り組みなど、具体的に解説され大変参考になった。
  • 統計データが多く社会での認識の変化がわかりやすかった。
「CSR経営とSDGs」(有馬 利男氏)に関して
  • SDGsへの取組みが世界的に広がっていることが判り、今後の自社活動にもぜひ取り入れていきたい。
  • 非常に興味がある内容で時間があっという間に過ぎた。
  • SDGsがひとつのビジネスチャンスにつながることを理解した。
優秀事例に学ぶ 「SWOT分析に基づく計画策定とエコステージ活動への展開」(今牧 健治氏)に関して
  • SWOT分析を客観的に会社を見るツールとして活用し、成果につなげている。
  • 人材育成や全員参画型はとても参考になった。(やらされ感をなくす)
  • やるべきことをやる。PDCAが結果として表れるよい一例。
優秀事例に学ぶ「エコステージ活動からTQM奨励賞への挑戦」(中野 裕氏)に関して
  • 会社をショールーム化するまでのエコステージ活動が素晴らしい。
  • エコステージ改善活動を活かし、経営サイクルがきちんと回っている状況が良くわかった。
  • 企業の規模に関係なく、改善への意識がどれだけ社内に広まるかが活動の鍵と感じた。
優秀事例に学ぶ「街の小さなレストラン。環境、CSR、そしてSDGs活動へ」(鎌田 健司氏)に関して
  • 考え方、向かう未来に共感します。素晴らしい社会貢献です。
  • 社会貢献への真剣な思いが伝わってきた。
  • SDGsの活動につなげる手法として参考となった。(戦略的活用)

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