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2015年環境経営講演会 ダイジェスト
経営革新によるNature・社会・企業の共有価値創造
2015年2月23日(月)、東京都新宿区・四谷区民ホールにて、第9回目となるエコステージ協会主催の環境経営講演会が開催された。「経営革新によるNature・社会・企業の共有価値創造」をテーマに、第一部では企業経営の専門家やバイオマテリアルの研究者による講演が行われた。さらに第二部では、エコステージをベースにした優秀事例、エコステージの最新動向まで紹介。多くの来場者が熱心に聞き入った。
<Ⅰ.開会挨拶>
エコステージ協会が、昨年の設立10周年を機に、中小企業の現場を起点とした経営改革により踏み込んで活動していることを紹介。新たな取り組みも着々と進み、優秀事例に結びついていると語った。本講演会のテーマの趣旨を説明し、開会を宣言した。

<Ⅱ.来賓挨拶>
これからの中小企業政策は成長を促すだけでなく持続化に向けた対策も重視し、「小規模企業は、たとえ規模を拡大できなくても地域の雇用を支え、自己実現や社会貢献の役割を担うなど社会的な意義を持つ」と指摘した。昨年成立した小規模企業振興基本法が大きな役割を果たし、小規模事業者持続化補助金など身近な用途に使える支援策が手厚くなり、同時に企業側にとっては経営計画の重要性も増すと説明。今後はさらに中小企業のサポートに力を注いでいくと語った。

<Ⅲ.来賓挨拶>
有馬 利男氏
かつて環境破壊や人権問題を起こしたグローバル企業が、その反省にたって積極的に改善活動を行い、信頼を回復した例を取り上げ、企業のCSRの取り組みがブランド力の維持や強化になることを説明。その中で「自分たちの足元、つまり収益をあげる力がしっかりできていないとCSRにもなかなか取り組むことはできない」と指摘し、経営強化とCSR活動の両立が重要になると語った。

<Ⅳ.基調講演>
エコステージ協会 評価基準委員
BCP=防災対策と誤解されがちな風潮に触れ、本来は事業承継やセキュリティ対応など、多くの中小企業が抱える普遍的なリスクに対応し、企業体質を強靭化するための備えであると解説。「エコステージ協会では、BCP強化に向けたワーキンググループを立ち上げ、経営戦略の柱として位置づけることを推奨する」と語り、BCPが企業経営において重要性を増していることを強調した。

<Ⅴ.特別講演>
技術革新としての生物規範工学に向けて」
植物に学んだ接着構造、コウモリに学んだソナーなど、さまざまな産業で取り入れられてきたバイオミメティクス(生物模倣)の先端技術の事例を紹介し、その歴史や社会的価値について解説。「人間は限りある化石資源を使ってものづくりをするのに対し、植物や動物は太陽光など再生エネルギーを使い時間をかけながらつくるため、低環境負荷である」と語り、生物の多様性に学び、人間の叡智を組み合わせることで、持続可能な社会に向けたキーテクノロジーになりうると提案した。

<Ⅵ.優秀事例に学ぶ>
グループ企業に環境経営を展開」
電子部品の開発・販売を軸に、香港やASEANなど海外にも積極的に事業展開しているサンシングループの取り組みを、代表取締役社長であり、経営学博士でもある石井氏が発表。経営者、研究者の両方の立場から、厳しい国際競争の中でエコステージの活動がどのような役割を果たしたかを紹介。「環境活動だけを行うのではなく、企業戦略を達成するための手段として役立った」と語った。

「全員参加で経営改善・社員満足度向上」
建設機械や輸送機器の板金部品を製造する光栄の取り組みについて、代表取締役社長の坂本氏が発表した。グループエコステージを導入後、PDCAを徹底することで以前から行ってきた委員会活動が活性化、さらに正社員全員が参加する小集団活動によって、「改善効果があがるとともに社員の問題解決能力が向上した」と語り、全員参加を軸にしたエコステージ活動の効果を説明した。

「環境にやさしいモノづくり」で新たな企業価値の創造を実現
通信機器の部品製造・販売を行い、新規事業を展開する坂本製作所の取り組みを、代表取締役社長の市村氏が発表した。エコステージ認証取得後、幼児が遊ぶ砂場の衛生問題に着目し、新事業のひとつとして板金加工の技術を活かした砂場洗浄除菌装置「砂場洗うくん」を開発。新たな市場を開拓することで、「社会問題の解決と企業価値の向上を同時に行えた」と、その意義を語った。

<Ⅶ.閉会挨拶>
エコステージ協会の最新動向として、ISO14001の改訂に関する情報とエコステージ協会の対応について紹介。また、エコステージ紹介の新DVDの発売情報、社会貢献として行っている東南アジアの植林活動についても報告した。こうした活動を通じて企業経営をサポートしていくことを改めて強調し、講演会を締めくくった。


「2015年環境経営講演会」アンケート集計結果より
-来場者にご記入頂いた多数の回答の中から、いくつかご紹介します。(原文のまま)-- BCMはTOP戦略、経営戦略そのもの、まさにその通り。
- バリューチェーンとして活動していきたいと感じました。
- BCPは企業存続の必須要求。BCMSへの進化は重要だろう。
- 生物学から物作りへ進化する話が現実的なものであり、テクノロジーのエコロジーだと感じました。とても面白いお話でした。
- バイオミメティクスは今後のエンジニアリングの発展に繋がると感じました。
- これから生物特性を活かした原材料等開発・設計に役立たせることを考えさせられた。
- 経営方針とエコステージが一体化しているところが良かった。
- 「エコなつぶやき」というのは面白かった。取り入れていきたいと思う。
- 一歩を踏み出す行動力とそれまでに必要なプロセスが重要であると学べた。
- 自社開発の工程管理システム、非常に参考となりました。
- 日次決算は素晴らしいです。弊社もマネしたいです。
- QCサークルとエコステージがリンク、両立し、成果が大、外部評価向上。
- ビジネスに直結したモデルであり、理想的なエコステージの取り組みであると感じました。
- 環境活動から新しい商品を開発するまでのプロセスに、地域の方の声に耳を傾けたということについて素晴らしいと思った。
- 自社の強みを活かしたエコステージの新たな展開と応用が参考になった。
- テールリスク、バイオミメティクス、BCPの取り組み事例の紹介などがあれば、ぜひお聞きしたいです。
- ISO14001を取得しなくてもエコステージの取得で大丈夫か、その辺りの説明が聞けると良いと思いました。特に中小企業へのコンサルという点では非常に優位点と思いました。
- エコステージ1を取得していますが、今後、更に経営のツールにしていきたいと思っています。昨年に引き続き今年もその気付きを与えていただきました。